ひとりになった玄関で、はぁはぁと荒い息だけが落ちていく。
目線を下げると床に付着する秋道さんの血。
まとわりつく恐怖に呑まれないように自分の肩を必死に抱きしめる。
「イヤ……イヤッ、イヤ!!!!」
信じたくない、こんな現実だれか嘘だと言って。
大好きな人が…私を殺すと言った?
うそだよ、あんなの幻聴。
新山くんは…私の知っている彼は、そんなこと言わない。
──殺してでも手に入れる
「やめて!!!!」
気づけば髪を掴んで頭を振り乱していた。
もうなにも聞きたくない。考えたくない。
その場を飛び出し、ぐらつく視界の中ベッドに体をなげうった。
こんな姿も秋道さんには見られているというのだろうか?
いったいどこから?いつから?
どうしてそこまで私に執着するの?
「う、うぅ…っ!」
こんなに恐ろしいのに、縋ってしまうのはやはり彼の歌で。
脳裏に流れるフレーズを呪文のように口ずさんだ。



