「……平石、どうした」
「あ、え……」
「なんで俺を見て怯えてるんだ」
新山くんの表情がスッと消える。
なにもかも……この恐怖すら見透かされているみたいだった。
こわい、こわい
全部が怖い。
「………正義のヒーロー気取りか」
秋道さんがのそりと鎌首をもたげた。
片目を細め、不気味な嘲笑を浮かべている。
「なにが言いたい……」
目元に影を落としたまま新山くんが睨みをきかせる。
正義のヒーロー
はたから見れば、新山くんの姿はまさしくその通りだろう。
しかし今この場にいる人間にしか分からない違和感は、たしかに存在していた。
「自覚が無いとはどうしようもない子だね……。正義のヒーローを怖がる人間がどこにいるっていうんだい、新山クン」
「やっぱりおまえ……アキミチか。
また平石を狙いに来たみたいだがタイミングが悪かったな」
「ふふ……ずいぶんとおれのことを警戒してるみたいだけど……見てごらんよ?茜ちゃん真っ青だよ。ヒーローに救われた人間の顔ではないね」
「黙れ」
秋道さんの顔面がまた床に叩きつけられた。
骨のぶつかる音におもわず目をつぶる。



