「うぅ……」
呻き声とともに持ち上げられた秋道さんの鼻からは大量の血が流れていた。
「っ、だめ……」
あきらかにやりすぎだ。
制止すべきなのに喉の震えが収まらなくてうまく声にならない。
足を動かそうとすれば腰が抜けてしまいそのままへたり込んでしまう。
「!平石大丈夫かっ」
見かねた新山くんが私のほうへ首をまわした。
秋道さんに向けていた氷のような表情とは打って変わって、とても心配そうに瞳を揺らしている。
「怪我は?どこか痛いとこねぇか?」
「へ、へいき……」
「震えてるじゃねぇか……。すぐ駆けつけられなくて悪かった。もう大丈夫だからな」
優しく頼もしい言葉。
大好きな新山くんが助けに来てくれて、本来なら涙が出るくらい安心するシチュエーションのはずなのに
私を守るにしてはあまりに過剰な秋道さんへの攻撃を目の当たりにしてしまった今、それはまた別種類の恐怖としてこの身を竦ませる要因の一つとなるだけであった。
ありがとうって言わなくちゃいけないのに……っ



