怖い
怖い
どうして、なんで
涙の粒が強烈な恐怖とともにボロボロと落ちていく。
秋道さんの澱んだ目がすべてを知ったうえで私に問いかけていた。
「ふふ……そんなに泣かないでよ。
ごめんね……新山くんといるの知ってた。見てたから……ずっと、ずっと。
でもどんな反応するかなって……気になったんだけど……やっぱりおれにとって……うしろめたいことなんだね」
"見ていた"
その言葉に頭が真っ白になる。
「おれは……いつでも茜ちゃんのこと見てるよ……茜ちゃんが大好きだから」
あなたの気持ちなんてとっくに知っている。
聞きたいのはそういうことじゃない。
秋道さんは人と会っていた。
私は新山くんといた。
お互い離れた場所にいたのに……どこから見ていたの?
「けどね、やっぱりガマンできなかったよ。おれには見せてくれないあんなかわいい笑顔……新山くんには見せるんだもんね。新山くんだけが、茜ちゃんの心を独占できるんだもんね」
「……」
「キスマークも……勝手にうわがきなんてされてさ……おれがどんな気持ちだったかわかる?一生消えないタトゥーでも入れたほうが茜ちゃんはフラフラしなくなるかな。あいつの独占欲なんて意味をなさないくらいの印を残せば諦めてくれるかな」
首すじの一点に刃を滑らせられる。
それは、紅く濃いキスマークの位置。
少しでも力を加えられたらおしまいだ。



