「俺が誰にでもこんなことする男だと思ってんのか?」
「オモイマセン」
「なら分かれよ。
お前のことが好きなんだよ」
まっすぐ目を見て告げられる。
偽りのない、私だけに向けられた告白。
体の内側から痺れるほどの幸福感がこみあげてきた。
「た、タイム……」
感じたことのない甘さ。
沸騰した顔を隠したくて手首の拘束を解こうとしたけど、逃さないというふうに力を入れられてしまいそれは叶わない。
せめてもと顔を横に逸らせば、あらわになった首すじに唇をうずめられる。
チクッと痛みが走った。
「こんな痕……俺がうわがきしてやる」
熱い息がかかり、ふたたび刻みつけるような痛み。
「好きだ、平石……」
新山くんの唇から激しい感情が注がれてくる。
いつのまにこんなに想われていたのだろう。
私だって大好きなのに、その気持ちすら簡単に追い抜かされてしまいそうなほど
新山くんは「好き」という言葉を重ね続けた。
このまま死んでもいいけど死んではだめだ
私、新山くんの彼女に
──『忘れないで』
脳裏に……秋道さんの声が響いた。
「……っ!」
全身が総毛立つ。
甘い空気が一掃され、高鳴っていた心臓が音を止めた。
まただ、また、この声。
意識下に深くまで根付いた恐怖。
それが、私の思考を一瞬で埋めつくした。
だめだ……ダメな気がする。
判断を誤ってはいけない。
恋に溺れる前に、まだやることがある。
秋道さんの愛と向き合わなければならない。



