病んだ心をつまびいて




本当に突然だった。

この家からお父さんがいなくなったのは、どれぐらい前のことだったか。


前触れなんて無かった。
荷物もなにもそのままの状態で、霧のように姿を消したお父さん。


連絡もつかず、電話はいっさい繋がらない。



まさに消息不明。



どうしていなくなったのか、どこへ行ってしまったのか。


なにも教えてくれないまま、一人で消えてしまった。



優しくて明るくて大好きなお父さん。


その存在の欠落にあまりのショックを受けた私は、当時の記憶をほとんど失くしてしまった。



ただ残ったのは、悲しみ。


具体的なことはいっさい憶えていない。