病んだ心をつまびいて




「ありがとうございました。
お父さんによろしくお伝えください」



ぎごちなく頭を下げる。


さっきまでずっとくっついてたせいか、今さら恥ずかしい。
こどもっぽく思われたよね。




「こちらこそありがとう。お父さんにはしっかり伝えておくよ。つらいこともあるだろうけど、負けずに前向きにね」


「はい。がんばります」


「いいこ。それじゃあね」




アズマさんはとびきり優しく笑い、踵を返して歩き出した。



広い背中に手を振ると、少し進んだ先でその足がピタリと止まる。



「危ない危ない、一つ言い忘れていたよ」



こちらを振り返ったアズマさんと目が合う。






「僕──茜ちゃんと結婚するから」