病んだ心をつまびいて





アズマさんと対面し、あらためて自己紹介という形になった。



「平石茜、栗山高校の3年生です」


「まだ17歳だよね?
12月が誕生日だってお父さんから聞いてるよ」



お父さん…娘のことめちゃくちゃ話してるじゃん。


ちょっと照れくさいけど、それ以上に誕生日を覚えていてくれたことが嬉しかった。



「僕は茜ちゃんより少しお兄さんの24歳。普通のサラリーマンだよ」



人好きのする笑顔。


サラリーマンというより、アイドルとかモデルとか、表立って華やかな世界が似合いそうな雰囲気をしている。



「最近この地区に引っ越してきたんだ。茜ちゃんの住んでるマンションにも近いから、僕がお父さんに派遣されたってわけ」


「そうだったんですね」


「すごく緊張したよ。冷たく突き放されたらどうしようって。けど、茜ちゃんはお父さんに似て優しいね。そして強い。初対面の僕を信じてくれた」



ありがとう、と
アズマさんは穏やかに笑った。



なんだか不思議な人だな。


会話していると、こわばっていた心が解けていく。



私を見つめるまなざしは春の日差しみたい。


キラキラしてるのに、まぶしくない


そんな控えめな温もりを持っている。