『こんにちは。僕は平石美貴さんの知人にあたるものです。少しだけお話させてくれませんか?』
青年の口から出た名前はお母さんのものだった。
もしかしてお友達なのかな?
「すみません。母は今仕事で…」
『かまいませんよ。
僕はキミと話がしたいんだ。平石茜ちゃん』
「え……」
今度は私の名前を出され、目的が私自身と告げられた。
この人のこと、なにも知らないんだけど…
背筋がひんやり冷たくなる。
「あの、なぜ私と…?」
『説明不足だったね、ごめん。じつは茜ちゃんのお父さんから様子を見てきてほしいと頼まれたんだ』
「お父さんから?」
痛みを感じるほど心臓が重く鳴った。
お父さん
今はもう、どこにいるのかも分からない人。



