────♪
それはインターホンの音だった。
「……ん」
まぶたを持ち上げると、目の前にはCDプレイヤー。
いつのまにか眠っていたようで、頭がぼんやりとする。
「あ、そうだ…私……」
学校から飛び出してきて、それで…
ゆっくりと鮮明になっていく記憶にズキリとこめかみが痛む。
できればなにもかも忘れてしまいたかった。
さっきまで泣きついていた秋道さんの曲はすでに終わっていて、残ったのはまぶたの重たさだけ。
私としたことが、バカみたいに泣いてしまった。
けどそのぶんスッキリしてる。
気持ちが沈んでいるのには変わりないけど、死にたいだなんて思いは消えていた。
「いつもありがとうね…」
CDプレイヤーをそっと撫でると
ふたたびインターホンの音が鳴った。



