そんな奈落に堕ちていくような感覚に、まだかろうじて正気を保っていた私の一部が抵抗した。 「たすけて……」 這いずるようにベッドから下り、机に置いてある小ぶりなCDプレイヤーに手をかけた。 振り絞るように再生ボタンを押すと やわらかなメロディーが流れてきた。 偶然か、それは私のいちばん好きな曲。 秋道さんの…1stシングルだ。