病んだ心をつまびいて



「昨日おれが伝えた言葉、ぜーんぶ大真面目だってこと。
いつもみたいに軽くあしらっていい話じゃない。それで痛い目見るのは茜ちゃんだ。分かるかなぁ?」




こわばる私に顔を近づけ、濁った双眸で見つめてくる。



逸らせなかった。

逸らしたら、死ぬとおもった。




「おれのものになるなら、だれも殺さない。
ならないのなら、きみ以外の人間を殺す。
すべての選択肢を放棄するのなら──おれは茜ちゃんを殺す」


「……っ」


「忘れないで、焼きつけて。
おれに見つかっちゃった時点で、茜ちゃんはもう逃げられないんだから」




うっとりと、さんざん吸い付かれた首すじの赤い痕を指でなぞられる。




「きみはおれのものだよ。
はやく堕ちておいで」




甘美な熱をはらんだ声に囁かれ、全身に恐怖が巡る。


純度の高い愛は鋭利さをまとって私を追い詰める。



本気だ。

本気なんだ、このひと。