「こんなに…茜ちゃんのことすきなのに」
憂い気に目を伏せ、さまよわせた彼の視線は私の首もとで止まった。
羨ましいほど大きな瞳がぴくりと反応する。
それは不機嫌な揺れ方で。
「俺のってしるし、あんなに付けたのに消しちゃったの」
しなやかな指先が皮膚をなぞる。
「…消さないと、いろんな人に見られるので」
「見られていーじゃん」
「よくありません」
「なんで」
「誤解されるので」
「だれに」
「みんなにです」
「ちがうでしょ。うそつき娘」
──ベリ
絆創膏を剥がされる。
「どーせ、新山くんにバレたくないだけのくせに」
両肩を掴まれ、トン─と壁に背を押しつけられる。
秋道さんの顔が鼻先まで近づいた。
ほんと、むだに綺麗だ。この人は。



