病んだ心をつまびいて



無機質な目に射抜かれる。
注がれる瞳の世界には、私しか存在していなかった。


だめだ、なにこれ



「秋道さん、こわい…」



異様な空気に耐えきれず身をよじれば
すかさず力を加えられる。
さながら、「逃げるな」と命じられているかのように。




「や、だ…やだ、秋道さん」

「……」

「こわいです、離して」

「……」

「いや…っ」




昨日の、秋道さんに連れ去られた洗面台でのことを思い出してしまう。


あの時の彼が、そっくりそのまま目の前に
いるみたいだった。




「秋道さん…」

「………」

「離して…ください」

「茜ちゃん」

「こわい……です」

「こわくない」

「やだ…」

「やじゃない」

「秋道さん、きらい」




泣きそうになりながらそう言うと、ほんの少しだけ腕の力がゆるまった。





「そんなこと、言わないでよ」





悲しげな声。
さっきの殺伐としたトーンは跡形もなく
消え去っていた。


めずらしく、崩れ知らずの美形が歪む。