「茜ちゃん、おは」
現れたのは、秋道さん。
ちなみにダボダボのスウェット姿。
「あ、きみちさん?」
秋道さんなんて無視してやる、なんて意気込んでいたのにも関わらず、あっさりと口から出たのは彼の名前。
この目がボサボサ頭の眠たげな美形をしっかり捉えたとき、反射的にドアを閉めていた。
「わわ、なんで閉めんの」
あっち側のドアノブを掴まれた。
朝っぱらからなぞの引っ張り合いがはじまる。
「ちょっと茜ちゃん、手離して」
「いやです」
「おれ今ちょー寝起きで体ふにゃふにゃなの。力使わせないでよね」
「じゃあシャキッとするために遠くの地で
滝行でもしてきたらどーですか」
「行くわけないでしょおばか。
ほら、お兄さんの言うことききなさい」
ひときわ強い力で引かれた。
背中を思いきり押されたみたいに、体が前のめりに放りだされて
「はい、かわいい茜ちゃん捕獲」
そのまま秋道さんの胸にダイブしてしまった。
ヒョロのくせに寝起きのくせに。
やっぱり男性だからか、それなりに力は
あるらしい。
むかつく。



