「ああ、栗須市長のお孫さんのね。俺も彼に投票したけど、正直まだまだだよな」
「そうですよね」
壱世は「答えはわかっていた」とでも言うような熱の無い返事をした。
「だけどまだ市長になったばっかりだからね、俺は期待してんだ。若い世代がもっと新しいベリが丘にしてくれるって。IT系の出身なんだろ? 商店街にももっと新しいマーケティングの方法なんかも取り入れてほしいよな」
胡桃は嬉しそうに「うんうん」と頷く。
「リス君見てください」
「その名前で呼ぶなよ」
文句を言いながら壱世が視線をやった先にあったのは、桑名の腕に付けられた最新のスマートウォッチだった。
「アンティークの腕時計じゃないんですね」
「そうなんですよ。桑さんはアンティーク時計の研究をしてるのに、自分で使うのはスマートウォッチなんです」
なぜか胡桃が誇らしげに言う。
「桑さんはベリが丘でも指折りの新しい物好きなんです」
「褒められてるんだか貶されてるんだか、わかんねえなー」
桑名は苦笑いを浮かべた。
「褒めてますよー! いつも新製品の情報、感謝してます。 桑さんは骨董品屋さんだし、アンティーク時計の研究家だけど、古い物にも新しさを感じるんですって」
「新しさ?」
「古い物にはさ、今は使われてないような技術だとか技法が使われてるだろ? それに出会うのは新しい物に出会うのと同じ驚きがある。俺はどっちも好きだね」
「ベリが丘はそういう街ですよね。新しい物も古い物もあって」
「胡桃はすーぐベリが丘に結びつけるなー」
胡桃は「ふふっ」と笑った。
「そうですよね」
壱世は「答えはわかっていた」とでも言うような熱の無い返事をした。
「だけどまだ市長になったばっかりだからね、俺は期待してんだ。若い世代がもっと新しいベリが丘にしてくれるって。IT系の出身なんだろ? 商店街にももっと新しいマーケティングの方法なんかも取り入れてほしいよな」
胡桃は嬉しそうに「うんうん」と頷く。
「リス君見てください」
「その名前で呼ぶなよ」
文句を言いながら壱世が視線をやった先にあったのは、桑名の腕に付けられた最新のスマートウォッチだった。
「アンティークの腕時計じゃないんですね」
「そうなんですよ。桑さんはアンティーク時計の研究をしてるのに、自分で使うのはスマートウォッチなんです」
なぜか胡桃が誇らしげに言う。
「桑さんはベリが丘でも指折りの新しい物好きなんです」
「褒められてるんだか貶されてるんだか、わかんねえなー」
桑名は苦笑いを浮かべた。
「褒めてますよー! いつも新製品の情報、感謝してます。 桑さんは骨董品屋さんだし、アンティーク時計の研究家だけど、古い物にも新しさを感じるんですって」
「新しさ?」
「古い物にはさ、今は使われてないような技術だとか技法が使われてるだろ? それに出会うのは新しい物に出会うのと同じ驚きがある。俺はどっちも好きだね」
「ベリが丘はそういう街ですよね。新しい物も古い物もあって」
「胡桃はすーぐベリが丘に結びつけるなー」
胡桃は「ふふっ」と笑った。



