***
「壱世さんは、結構大変な感じなんでしょうか」
週末、栗須の家に向かう車の中で胡桃が尋ねる。
「何が?」
「……なんていうか、人間関係とか」
市長の仕事のこととなると、他人の胡桃は聞いてはいけないような気もして、濁した聞き方をする。
「ああ、そういう話題か」
壱世は胡桃の言いたいことを察したようだ。
「急にどうした」
「あ! えっと、壱世さんの表紙のベリビが予想通りというか、予想以上に評判がよくて」
「超イケメン市長が表紙だからな」
「どう返したらいいのかわかりません」
壱世は前を向いたまま眉を下げて笑う。
「それで、編集部で壱世さんの……市長の話題になって。いろいろ反対されてるって。それにイベントのときの副市長の様子とか……」
「なかなか答えづらい質問だな」
「ですよね。でも、うちの会社は政治系の記事がある仕事はしてないので、えっと……」
「心配してくれてるのか」
「一応、こ、婚約者ですから」
言いにくくてポツリと小さな声で言う胡桃に、壱世はまた笑う。
「ある程度は想像してたから、覚悟はしていた。ただ、想像以上に頭の固い人間が多いっていうのが本音かな」
「じゃあやっぱり大変なんですね。なのにお休みの日にこんな風に送迎とか、何時間も待っていていただいたり、申し訳ないです」
本来は受けなくて良かった十玖子の指導に壱世を付き合わせてしまっていることに、小さくなってお詫びをする。
「壱世さんは、結構大変な感じなんでしょうか」
週末、栗須の家に向かう車の中で胡桃が尋ねる。
「何が?」
「……なんていうか、人間関係とか」
市長の仕事のこととなると、他人の胡桃は聞いてはいけないような気もして、濁した聞き方をする。
「ああ、そういう話題か」
壱世は胡桃の言いたいことを察したようだ。
「急にどうした」
「あ! えっと、壱世さんの表紙のベリビが予想通りというか、予想以上に評判がよくて」
「超イケメン市長が表紙だからな」
「どう返したらいいのかわかりません」
壱世は前を向いたまま眉を下げて笑う。
「それで、編集部で壱世さんの……市長の話題になって。いろいろ反対されてるって。それにイベントのときの副市長の様子とか……」
「なかなか答えづらい質問だな」
「ですよね。でも、うちの会社は政治系の記事がある仕事はしてないので、えっと……」
「心配してくれてるのか」
「一応、こ、婚約者ですから」
言いにくくてポツリと小さな声で言う胡桃に、壱世はまた笑う。
「ある程度は想像してたから、覚悟はしていた。ただ、想像以上に頭の固い人間が多いっていうのが本音かな」
「じゃあやっぱり大変なんですね。なのにお休みの日にこんな風に送迎とか、何時間も待っていていただいたり、申し訳ないです」
本来は受けなくて良かった十玖子の指導に壱世を付き合わせてしまっていることに、小さくなってお詫びをする。



