壱世たちが控え室に使用しているのは小さな会議室だった。
壱世についているSPは開けたドアの外に立って警護をしている。
胡桃を椅子に座らせ、しゃがんだ彼が足の様子を見る。
「少し赤くなってるな」
「あ、あの……本当に大丈夫です」
「でも」
「少し休んだら戻ります。えっと、片付けをサボれてむしろラッキーって感じです」
胡桃が心配そうな壱世の顔を見てニコッと笑ってみせると、彼はため息をついた。
「君はそういうタイプじゃないだろ」
「え……」
「我慢強いのも考えものだな。こんなことまで楽しむフリはしなくていい」
壱世は真剣な目で胡桃を見つめた。
「取材に使う大事な足だろ?」
自分を心配する彼の目に、心臓がトクンと優しい音を鳴らす。
「……はい。……本当はちょっとだけ痛い、です」
つい熱を帯びてしまう顔で、胡桃は頷く。
本音を言った胡桃に、壱世が心配しながらも穏やかに笑いかける。
「あ、あの、でも本当に病院に行くほどではなさそうです」
「そうか。それなら良かった」
安心した様子を見せる彼に、胡桃の鼓動が少し速くなる。
「壱世さんは、やっぱり優しいですね」
「胡桃には〝壱世〟って呼ばれる方がしっくりくるな」
そう言って笑った壱世が、胡桃の頭を撫でた。
「……なんで撫でるんですか」
照れくさくなって聞いてしまう。
「ちゃんと痛いって言えてえらいな、と思って」
「……子ども扱いじゃないですか」
笑う彼に心臓をキュッと掴まれながら、不満そうな表情を見せる。
(私ももう、名前で呼ばれるのが当たり前みたいになってきちゃった)
壱世についているSPは開けたドアの外に立って警護をしている。
胡桃を椅子に座らせ、しゃがんだ彼が足の様子を見る。
「少し赤くなってるな」
「あ、あの……本当に大丈夫です」
「でも」
「少し休んだら戻ります。えっと、片付けをサボれてむしろラッキーって感じです」
胡桃が心配そうな壱世の顔を見てニコッと笑ってみせると、彼はため息をついた。
「君はそういうタイプじゃないだろ」
「え……」
「我慢強いのも考えものだな。こんなことまで楽しむフリはしなくていい」
壱世は真剣な目で胡桃を見つめた。
「取材に使う大事な足だろ?」
自分を心配する彼の目に、心臓がトクンと優しい音を鳴らす。
「……はい。……本当はちょっとだけ痛い、です」
つい熱を帯びてしまう顔で、胡桃は頷く。
本音を言った胡桃に、壱世が心配しながらも穏やかに笑いかける。
「あ、あの、でも本当に病院に行くほどではなさそうです」
「そうか。それなら良かった」
安心した様子を見せる彼に、胡桃の鼓動が少し速くなる。
「壱世さんは、やっぱり優しいですね」
「胡桃には〝壱世〟って呼ばれる方がしっくりくるな」
そう言って笑った壱世が、胡桃の頭を撫でた。
「……なんで撫でるんですか」
照れくさくなって聞いてしまう。
「ちゃんと痛いって言えてえらいな、と思って」
「……子ども扱いじゃないですか」
笑う彼に心臓をキュッと掴まれながら、不満そうな表情を見せる。
(私ももう、名前で呼ばれるのが当たり前みたいになってきちゃった)



