恋愛日和 〜市長と恋するベリが丘〜

「息抜きならさっきしましたが?」
「え?」

「仕事の合間にコーヒーを飲むのが私の息抜きです」

「えー!!」

胡桃は心底驚いて声を上げた。

「コーヒーって、難しい顔してパソコンを見ながら飲んだだけじゃないですか!」
「それが何か?」

「仕事の息抜きっていったら、コーヒーを飲みながらドーナツを食べるとか、隣のデスクの子とおしゃべりしながらおせんべいを食べるとか、余裕があったらパソコンを持ってカフェに行くとか」
「食べてばかりだな」
胡桃の熱弁に、壱世はやや呆れたような顔をする。

「あいにく隣にデスクはないし、市長がカフェにパソコンを持っていくわけにも、公園でハンバーガーってわけにもいかないからな」

「公園でハンバーガー?」
胡桃が言っていないシチュエーションに、高梨が反応する。

キスを思い出して赤面する胡桃を、壱世が笑う。

(私が意識してるってわかってて、からかってる! やっぱり市長にはその程度のなんでもないことなんだ)
胡桃はムッとした。

「そ、そういうことじゃなくて、なんていうか……全体的に遊びが足りないです」

「市長の仕事に遊びが必要かどうかは疑問ですが」
高梨はメガネの真ん中に指をあて、クイッと位置を直した。

「明日は保育園への訪問がありますので、本日よりは華やかかと」