***
パーティーから一週間。
胡桃は『市長の一日』という密着取材のため、カメラマンの橘と一緒に朝八時に市長室を訪れていた。
「先日もお話しした通り、〝一日〟とはいっても取材できない会議などの時間もありますので、今日と明日の二日間にわたって取材させていただいて、架空の一日をイメージとして作らせていただきます」
胡桃が説明するのを、壱世と秘書の高梨が聞いている。
(キスしたのに、全然普通)
平然としている壱世に、ドキドキしながらここに来た胡桃はなんとなくがっかりしていた。
「何か?」
つい、壱世の顔を見つめてしまった胡桃に彼が反応する。
「い、いえ」
(IT出身イケメン市長には、日常茶飯事だったのかな)
あまりにも普通な壱世に、ドギマギしている自分がバカらしくなってきた。
「あ、公務の合間の息抜きタイムなんかも撮らせていただくかもしれないので、よろしくお願いします」
(難しい顔が和らぐ瞬間とか、撮れるといいな。普段のキリッとした市長のイメージとのギャップ、みたいな表情)
「息抜きタイム、ですか……」
高梨が意味ありげにつぶやく。
「何か問題でも?」
「いえ」
パーティーから一週間。
胡桃は『市長の一日』という密着取材のため、カメラマンの橘と一緒に朝八時に市長室を訪れていた。
「先日もお話しした通り、〝一日〟とはいっても取材できない会議などの時間もありますので、今日と明日の二日間にわたって取材させていただいて、架空の一日をイメージとして作らせていただきます」
胡桃が説明するのを、壱世と秘書の高梨が聞いている。
(キスしたのに、全然普通)
平然としている壱世に、ドキドキしながらここに来た胡桃はなんとなくがっかりしていた。
「何か?」
つい、壱世の顔を見つめてしまった胡桃に彼が反応する。
「い、いえ」
(IT出身イケメン市長には、日常茶飯事だったのかな)
あまりにも普通な壱世に、ドギマギしている自分がバカらしくなってきた。
「あ、公務の合間の息抜きタイムなんかも撮らせていただくかもしれないので、よろしくお願いします」
(難しい顔が和らぐ瞬間とか、撮れるといいな。普段のキリッとした市長のイメージとのギャップ、みたいな表情)
「息抜きタイム、ですか……」
高梨が意味ありげにつぶやく。
「何か問題でも?」
「いえ」



