それから十分ほど、彼は女将と一緒に建物内で胡桃を探した。
「江田さーん? どこっスか?」
「いませんねえ。そろそろ営業時間になってしまうんですが……」
胡桃が見つからないので、不思議に思いながらも女将とともに元の部屋に戻ることにした。
座卓の上で「ヴー……ヴー……」と音が鳴っている。
「あれ、江田さんスマホ持って行かなかったんだ」
胡桃本人が鳴らしているのかもしれないと思い、橘はスマホを手に取る。
「【リスくん】……?」
おかしな表示に、橘は思わず通話ボタンを押した。
「はい」
『あれ? こちらは江田さんの携帯ではありませんでしたか?』
男性が出たことに驚いた壱世が言う。
「……もしかして、市長っスか?」
橘が小声で聞く。
『え……?』
電話口でも不審がっているのがわかる声だ。
「あーえっと、これは江田さんのスマホで、俺はカメラマンの橘です」
『ああ、橘さん。ご無沙汰してます』
「マジで江田さんと付き合ってるんですね」
橘の言葉に、壱世は小さく咳払いをする。
『それで……江田さんは?』
「なんか、いなくなっちゃったんスよね」
『え?』
「江田さーん? どこっスか?」
「いませんねえ。そろそろ営業時間になってしまうんですが……」
胡桃が見つからないので、不思議に思いながらも女将とともに元の部屋に戻ることにした。
座卓の上で「ヴー……ヴー……」と音が鳴っている。
「あれ、江田さんスマホ持って行かなかったんだ」
胡桃本人が鳴らしているのかもしれないと思い、橘はスマホを手に取る。
「【リスくん】……?」
おかしな表示に、橘は思わず通話ボタンを押した。
「はい」
『あれ? こちらは江田さんの携帯ではありませんでしたか?』
男性が出たことに驚いた壱世が言う。
「……もしかして、市長っスか?」
橘が小声で聞く。
『え……?』
電話口でも不審がっているのがわかる声だ。
「あーえっと、これは江田さんのスマホで、俺はカメラマンの橘です」
『ああ、橘さん。ご無沙汰してます』
「マジで江田さんと付き合ってるんですね」
橘の言葉に、壱世は小さく咳払いをする。
『それで……江田さんは?』
「なんか、いなくなっちゃったんスよね」
『え?』



