***
週末、胡桃は一人で十玖子のもとを訪れていた。
「それは良かったわね」
飯桐の女将の話を彼女に聞かせて礼を言った。
「良いお店よね、うちもお祝い事の食事会は飯桐よ」
「はい。って言っても私は食事は一度しかしたことがないですけど……」
「あら、壱世に連れて行ってもらいなさい」
橘と同じことを言われて、胡桃は苦笑いだ。
「ところで、今週も一人なのね」
先週末も一人でここへ来ていた。
「壱世さん、最近忙しいみたいで。土日のどちらもお仕事に行ってます」
「だめねえ、婚約者を放っておくなんて」
「そんな、市長の仕事の方が大事ですよ」
ベリ野に行った頃から、壱世の帰宅時間が遅くなっている。
(再開発の件も気になるけど、議会も大変そうなんだよね)
***
三日前の水曜日。
胡桃は壱世の自宅で帰りを待っていた。
『今日も遅かったですね。お仕事大変なんですか?』
『ん? ……うん、まあ』
なんとなく歯切れの悪さを感じさせる返事だが、彼の仕事柄仕方ないのだろうと胡桃は思う。
『見ただろ? ネット記事』
壱世はソファに座るとネクタイをゆるめ、スマホに今日出た議会関連の記事を表示した。
そして胡桃に見せる。
週末、胡桃は一人で十玖子のもとを訪れていた。
「それは良かったわね」
飯桐の女将の話を彼女に聞かせて礼を言った。
「良いお店よね、うちもお祝い事の食事会は飯桐よ」
「はい。って言っても私は食事は一度しかしたことがないですけど……」
「あら、壱世に連れて行ってもらいなさい」
橘と同じことを言われて、胡桃は苦笑いだ。
「ところで、今週も一人なのね」
先週末も一人でここへ来ていた。
「壱世さん、最近忙しいみたいで。土日のどちらもお仕事に行ってます」
「だめねえ、婚約者を放っておくなんて」
「そんな、市長の仕事の方が大事ですよ」
ベリ野に行った頃から、壱世の帰宅時間が遅くなっている。
(再開発の件も気になるけど、議会も大変そうなんだよね)
***
三日前の水曜日。
胡桃は壱世の自宅で帰りを待っていた。
『今日も遅かったですね。お仕事大変なんですか?』
『ん? ……うん、まあ』
なんとなく歯切れの悪さを感じさせる返事だが、彼の仕事柄仕方ないのだろうと胡桃は思う。
『見ただろ? ネット記事』
壱世はソファに座るとネクタイをゆるめ、スマホに今日出た議会関連の記事を表示した。
そして胡桃に見せる。



