スリジエには同じ敷地内にレストランと別棟の宿泊用の建物がある。
脇には櫻坂の桜と同じ時期に植えられた桜の木があり、これがこのオーベルジュの名前の由来だ。
数の少ない客室はすべてスイートルームで、洋館にふさわしいアンティーク調の家具や室内装飾は気品がありつつも華美な雰囲気を作っている。
「ん……っ」
部屋に入るなり、壱世は胡桃の呼吸を奪うようなキスをする。
角度を変えて、味わうように。
胡桃は彼に応えようと、ジャケットの襟を掴む手にキュッと緊張気味に力を入れる。
「さっき」
壱世が胡桃の潤んだ瞳を覗きこむ。
「見た目が全然とか言ってたけど」
「あ……んっ」
「胡桃はかわいいよ、すごく」
彼の低くて艶っぽい声で囁かれ、身体の奥がキュンと疼く。
「それに今は色っぽい」
「な、泣いちゃったし……かわいくないです」
照れた胡桃が目を逸らそうと俯くのを、彼は許さない。
「かわいいよ」
何度も唇を重ね、絡まる舌からお互いの熱が甘く混ざっていく。
鳴り止まない自分の鼓動と時折感じる彼の心音が重なって、どちらのものかわからない。
「あ……待っ——んんっ」
「待たない」
「……ふ、あ」
脇には櫻坂の桜と同じ時期に植えられた桜の木があり、これがこのオーベルジュの名前の由来だ。
数の少ない客室はすべてスイートルームで、洋館にふさわしいアンティーク調の家具や室内装飾は気品がありつつも華美な雰囲気を作っている。
「ん……っ」
部屋に入るなり、壱世は胡桃の呼吸を奪うようなキスをする。
角度を変えて、味わうように。
胡桃は彼に応えようと、ジャケットの襟を掴む手にキュッと緊張気味に力を入れる。
「さっき」
壱世が胡桃の潤んだ瞳を覗きこむ。
「見た目が全然とか言ってたけど」
「あ……んっ」
「胡桃はかわいいよ、すごく」
彼の低くて艶っぽい声で囁かれ、身体の奥がキュンと疼く。
「それに今は色っぽい」
「な、泣いちゃったし……かわいくないです」
照れた胡桃が目を逸らそうと俯くのを、彼は許さない。
「かわいいよ」
何度も唇を重ね、絡まる舌からお互いの熱が甘く混ざっていく。
鳴り止まない自分の鼓動と時折感じる彼の心音が重なって、どちらのものかわからない。
「あ……待っ——んんっ」
「待たない」
「……ふ、あ」



