「一年中、バラを中心に花が咲き続けるようになっているそうだ」
「きっと昼間も素敵ですね。お花の香りもするけど、ハーブの香りもする」
夏の夜が纏う気配と緑の爽やかな香りが胡桃の鼻をくすぐる。
庭園の奥には少しひらけたスペースがあった。
周りには夏咲きのバラのアーチが咲き誇っている。
壱世が胡桃をエスコートするように片手を差し出す。
胡桃は戸惑いながらも手を取り、二人はそのスペースの真ん中に立った。
「あの……」
胡桃は壱世の顔を見る。
「今日は……というか、あのパーティーの日からこの三か月くらい、ありがとうございました」
「え?」
「ご馳走になってしまいましたけど、お礼を言わなくちゃいけないのは私の方です。ずっと良くしていただいて、マナーだって勉強になったし、昔の市長のことも教えてもらえて、こんな風に憧れてたお店にも連れてきていただいて」
どうしても俯いてしまいそうになるのをこらえて、胡桃は髪を耳にかけて笑う。
「市長には感謝してもしきれないです」
「〝市長〟?」
壱世が眉間にシワを寄せる。
彼の反応が不思議で胡桃も眉根を寄せる。
「きっと昼間も素敵ですね。お花の香りもするけど、ハーブの香りもする」
夏の夜が纏う気配と緑の爽やかな香りが胡桃の鼻をくすぐる。
庭園の奥には少しひらけたスペースがあった。
周りには夏咲きのバラのアーチが咲き誇っている。
壱世が胡桃をエスコートするように片手を差し出す。
胡桃は戸惑いながらも手を取り、二人はそのスペースの真ん中に立った。
「あの……」
胡桃は壱世の顔を見る。
「今日は……というか、あのパーティーの日からこの三か月くらい、ありがとうございました」
「え?」
「ご馳走になってしまいましたけど、お礼を言わなくちゃいけないのは私の方です。ずっと良くしていただいて、マナーだって勉強になったし、昔の市長のことも教えてもらえて、こんな風に憧れてたお店にも連れてきていただいて」
どうしても俯いてしまいそうになるのをこらえて、胡桃は髪を耳にかけて笑う。
「市長には感謝してもしきれないです」
「〝市長〟?」
壱世が眉間にシワを寄せる。
彼の反応が不思議で胡桃も眉根を寄せる。



