「振る舞いと、知識と、語学力と、容姿……でしたっけ?」
「そんなことも言ったな」
ため息交じりに言う。
「容姿ってところだけは今でもどうかと思いますけど、他のことは十玖子さんが必要だって思ってることにも近いし、栗須家に入る人には必要ですね」
(壱世さんは自分の立場をちゃんとわかってて、スペックを大事に思ってたんだって今ならわかる)
「壱世さんが選んだ人なら大丈夫です。十玖子さんがすぐに合格にしてくれますよ」
また笑顔を作る胡桃に、壱世は怪訝な顔をする。
「あのさ——」
彼が言いかけたところで、料理が運ばれてきた。
「デザート?」
出されたのは手のひらサイズのグラスに盛られたレモンのソルベだった。
「魚料理と肉料理の間の口直しだよ」
(あ、十玖子さんに習った気がする)
「私、まだまだ全然だめですね」
また苦笑いを浮かべる。
(香さんなら、こんな間違いしないんだろうな)
そんなことを考えながらソルベを口にする。
喉の奥に何かが詰まっているように苦しくて、味がしない。
(……うらやましいな、香さん。壱世さんと結婚できて。ちゃんとそういうスペックがあって)
それから、メインの肉料理、フロマージュと呼ばれるチーズ、デザートと続いた。
(途中まではすっごくおいしかったのに、よくわからなくなっちゃった)
「そんなことも言ったな」
ため息交じりに言う。
「容姿ってところだけは今でもどうかと思いますけど、他のことは十玖子さんが必要だって思ってることにも近いし、栗須家に入る人には必要ですね」
(壱世さんは自分の立場をちゃんとわかってて、スペックを大事に思ってたんだって今ならわかる)
「壱世さんが選んだ人なら大丈夫です。十玖子さんがすぐに合格にしてくれますよ」
また笑顔を作る胡桃に、壱世は怪訝な顔をする。
「あのさ——」
彼が言いかけたところで、料理が運ばれてきた。
「デザート?」
出されたのは手のひらサイズのグラスに盛られたレモンのソルベだった。
「魚料理と肉料理の間の口直しだよ」
(あ、十玖子さんに習った気がする)
「私、まだまだ全然だめですね」
また苦笑いを浮かべる。
(香さんなら、こんな間違いしないんだろうな)
そんなことを考えながらソルベを口にする。
喉の奥に何かが詰まっているように苦しくて、味がしない。
(……うらやましいな、香さん。壱世さんと結婚できて。ちゃんとそういうスペックがあって)
それから、メインの肉料理、フロマージュと呼ばれるチーズ、デザートと続いた。
(途中まではすっごくおいしかったのに、よくわからなくなっちゃった)



