「君は、俺から見たらいろんな意味で不器用だと思うし、おかしな行動も多い」
「……何も言い返せないです」
眉を寄せて小さく頬を膨らめる胡桃に、彼は「ふっ」と笑う。
「だけど君は自身にも他者にも誠実で、物事の本質的なことを理解した上で楽しんでいるし……いや、楽しみながら理解していくのかもしれないが、それで周りの人間も楽しませているよな」
壱世が優しい笑顔で胡桃を見つめる。
「十玖子さんが君を気にいるのも、君の周りに笑顔が絶えない理由もよくわかる。俺は胡桃を尊敬してる」
「え……」
あまりにも、思いがけない言葉だった。
「そんな」
胡桃の頬を熱いものが伝う。
「あ、やだな……」
壱世が胸元のハンカチを差し出す。
「すみません……壱世さんにそんな風に言ってもらえるなんて思わなかったから。泣くのって全然好きじゃないのに」
ハンカチで目元を拭いながら言う。
「十玖子さんの指導も頑張って良かったです。嬉しい」
胡桃は続けて流れそうになる涙をぐっとこらえて笑顔を見せた。
「あの……でも、今ならわかります」
「わかる? 何が?」
「壱世さんが言ってた結婚相手の〝スペック〟のことです」
胡桃の言葉に彼は眉をひそめる。
「……何も言い返せないです」
眉を寄せて小さく頬を膨らめる胡桃に、彼は「ふっ」と笑う。
「だけど君は自身にも他者にも誠実で、物事の本質的なことを理解した上で楽しんでいるし……いや、楽しみながら理解していくのかもしれないが、それで周りの人間も楽しませているよな」
壱世が優しい笑顔で胡桃を見つめる。
「十玖子さんが君を気にいるのも、君の周りに笑顔が絶えない理由もよくわかる。俺は胡桃を尊敬してる」
「え……」
あまりにも、思いがけない言葉だった。
「そんな」
胡桃の頬を熱いものが伝う。
「あ、やだな……」
壱世が胸元のハンカチを差し出す。
「すみません……壱世さんにそんな風に言ってもらえるなんて思わなかったから。泣くのって全然好きじゃないのに」
ハンカチで目元を拭いながら言う。
「十玖子さんの指導も頑張って良かったです。嬉しい」
胡桃は続けて流れそうになる涙をぐっとこらえて笑顔を見せた。
「あの……でも、今ならわかります」
「わかる? 何が?」
「壱世さんが言ってた結婚相手の〝スペック〟のことです」
胡桃の言葉に彼は眉をひそめる。



