悪魔なあなたと結婚させてください!

「そんなこと言われても……」
きっと、彼女たちと自分では根気強さだって違う。

それなのに同じようにやれと言われても到底無理だ。
「お前の場合はまずはランニングから」

「でもぉ……」
まだ納得しかねて頬をふくらませる幸。

そんな幸にアレクが顔を近づけてきた。
それもなんだかとびきに決め顔だ。

あまりに至近距離で見つめられてあとずさりをしようとしたけれど、両腕を背中に回されて引き止められてしまった。

こんな状況は映画やドラマの中でしか見たことがないので、うろたえてしまう。
「俺のために頑張ってくれないか?」

まさしくアメとムチ。
アレクの甘いささやき声に幸の体から力が抜けていく。

「も、もちろん頑張るよ!」
まんまと乗せられて幸はそう答えていたのだった。