悪魔なあなたと結婚させてください!

と、思っている間にアレクに抱き寄せられていた。

なにもかもが突然の出来事でもやは反論もできずにただただ困惑する。
「少しの時間だけだから気にするな」

アレクはそう言ったかと思うとコートの下から大きな黒い翼を取り出して空高く舞い上がったのだ。

イケメンに抱きしめられて大空を飛ぶ幸はもはや気絶寸前。
刺激が強すぎて頭はとっくについていけなくなっていた。

「ここだ」
アレクが降り立ったのはひと気のない路地裏だった。

こんなところになにがあるのかと周囲を見回してみれば、スポーツジムの裏手であることがわかった。

小窓の中から人の声が聞こえてきている。