悪魔なあなたと結婚させてください!

「……教えない」
幸はふたりを睨み返して言った。

ふたりは驚いたように目を見開いて幸を見つめる。
まさか幸が自分たちに反抗してくるとは思ってもいなかったんだろう。

今までどれだけ仕事を押し付けられても、ミスを被せられても黙って受け入れてきた幸だ。

今度もきっと無条件で言うことを聞くと思っていたに違いない。

ここ数ヶ月で幸はこれほど変化したというのに、このふたりはまるで変化していなかったことになる。

「教えてって言ってんだろ」
和美が敬語を辞めて詰め寄る。

幸は後ずさりをして距離を置いた。
どれだけ威圧的な態度を取られても、絶対に話すわけにはいかなかった。

ふたりにアレクを紹介するなんて、もってのほかだ。