シーベルはいつもの朗らかさを見せて言ったが、ふたりを残すということはそれなりの危険を想定しているということだろう。ラルドリスもそれを感じたようだ。

「待て、この先お前の存在は絶対に必要だ。もう少し知恵を絞ろう。なにか、俺たちの姿を隠せる方法を……。そうだ、変装するというのはどうだ?」
「ザハール様の行動が本気だということを考えると、重要な場所には王国から我々の姿をじかに見たことのある者が派遣されているでしょうね。生中なものではすぐにバレると考えた方がよろしい」
「くそっ……いっその事髪でも切って染めてやるか?」

 そんなふたりの真剣なやり取りを聞く間、メルにある考えが閃く。

「あのっ! その関の突破、私に任せて貰えませんか!?」
「……なにか方法があるのですね?」
「聞かせてくれ!」

 ――それから五日後……。
 メルの発案で一行は、カルチオラの関に真正面から挑むことになる。