助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

「すみませんシーベル様、お待たせしました」
「よいしょっと……おやおや、大収穫じゃないですか。火の準備はできました。湯でも沸かしておきますので、存分にお使いください」
「遅いじゃないか。早く食事を用意してくれ……!」

 ガラス瓶に入れてあった保存水を鍋に移していたシーベルが笑顔で言い、その後ろからラルドリスが顔を出す。
 彼はというとシーベルが石で作った簡単な竈に近付き、暖を取っていた。
 自分ではなにもしていないくせに……王子といえど偉そうなその姿が少し癇に障る。

「ラルドリス様、楽ばかりしていては人の気持ちは分かりませんよ? シーベル様は年長者なのですから、少しくらいは気遣いを見せてさしあげたらよいでしょうに」

 侍女というていで同行させられているけれど、ラルドリスが自分と同年代であり、つい遠慮より苛立ちが勝る。小言が口を突いて出た。すると予想通り彼は不満げに口を尖らせた。

「そんなのは王族の務めではない」
「それはごもっともですが、先日を思い出してください。そんな調子でいて、もし私たちまでお側から離れてしまったらどうするのです?」
「む……」