助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

 満更でもない気持ちで、顔を上げた。きっとメルが今こんな風に笑えたのも、大切な人が与えてくれた色々な思い出のおかげなのだから。

 例え血筋は繋がっていなくても、メルは彼女から多くのものを受け継いでいる。
 それを誇れるように、これからも精一杯自分を信じて進みたい。

「ところで、ハーブティーというが、あんまり苦いのはよしてくれよ?」
「……ミルクでも入れましょうね」

 ぺろっと舌を出したラルドリスにメルはやれやれと首を振り、一緒に部屋に戻りだす。
 その肩で、もしゃもしゃとヒマワリの種を咀嚼するチタの丸い瞳には映っていた……。
 木々の隙間から降り注ぐ茜色の陽に混じり、きらきらとした虹色の光の粒がふたりの胸の奥や、世界のいたるところで輝いているのを。