シーベルが紹介してくれた臣下と顔合わせを行っていたのだ。彼は疲れたように肩をさすっていた。メルは膝を起こすと、彼に微笑みかける。

「大変ですね。後で元気の出るハーブティーでも淹れましょうか。チタを遊ばせてあげたいので、少しだけお待ちいただいてもよろしいですか?」
「ああ。悪いな……暇があれば、郊外の森にでも連れて行ってやりたいところなんだが」
「いえいえ。今は目的を果たすことを優先すべきなのは分かりますし」

 気遣ってくれるラルドリスに遠慮しながら、メルは移動し、近くにあったベンチに腰掛けた。

「そういえば、向こうではどんな生活をしていたんだ?」
「そうですね。色々やる事はありましたよ……」

 メルは向こうでの家事や仕事を思いつくまま上げてみせた。
 朝起きて身支度を整え、軽く食事をしたら……菜園の手入れをする。近くの川に出向いて水汲みや掃除洗濯。薪作りや小屋の軽い修繕、それから森に出向いて食材を集めたり。毎日継続して魔法の修練をするのも大事だし、異変がないか周辺を散歩がてら巡回したり、街に出向いて薬などの取引。その他色々を順繰りにこなすだけでも目まぐるしく日々は過ぎてゆくのだ。