「…………どうして分かったんですか」
「道中、時折ぽっかり穴が空いたような目で、どこかを見つめていたな。御祖母殿のことを、思い出していたんだろう?」

 祖母を亡くした事実を、本当は受け止められていなかったこと。
 どうしてか涙を流し、悼むこともできなくて。悲しみと向き合わず月日に任せ、忘れ去ることを選ぼうとした。そんなこと、できるはずがないのに。

 だが今は、その存在がいつでも、傍らにいると知ることができた。
 その事実はメルにとって嬉しくもあり、同時に触れ合うことのできないつらさを、より大きく膨れ上がらせた。
 祖母に、会いたい――。

「代わりには決してなれないけど、俺がいる。安心して素直な気持ちをぶつけろ。お前がどうなろうと、すべて受け止めてやる」
「っ……うぅ――」

 それは、メルの目から、口から、形にならない想いとして溢れてくる。
 無意識に堪えようとしてしまうメルの身体をラルドリスの力強い腕が掴む。それは教えてくれた。もう、押し隠す必要なんてないのだと……。