そして最後に。

「さようなら、ラルドリス殿下。それと、魔女メル・クロニア。あなたたちの勝利だわ、おめでとう」

 そんな言葉を残し、魔術師と共に、周りを固めた兵士に連れられていった。

(お姉様……)

 項垂れもせず、自分の足で牢へと胸を張って歩いてゆく姉の姿を、メルは複雑な思いで見送る。
 どうしてか……なんとなく姉と向き合うことは、二度とないような気がしたのだ――。

 こうして、次期王位を巡ってのアルクリフ王国の争いは、終わりを告げた。
 まだ山には雪の残る、年が明けてしばらくに起きた出来事であった。