「ええ。それだけではなく、ザハール様と共謀し、あなたの命を狙う工作を図ったことを白状し、縛に付きましょう」
「わかった。お前への処分は法務と相談し下す。それまで神妙に控えて待つがよい」
「仰せの通りに」

 素直に頭を下げるティーラに諦めを感じたか、ラルドリスは頷くと、集まって来た騎士団の兵士たちに事情を説明する。大きなどよめきを発しながらも、兵士たちは彼女たちを拘束し、同時にザハールの大きな声がここまで響き渡って来る。
『なぜだ! なぜ……あのようなガキの戯言に耳を貸す! お前たち、わからないのか! この選択がこの国の岐路となってしまうのだぞ! 国家運営に夢想や情など不要だろう! おい、そこの貴様、貴様も、貴様もだっ! あれだけ袖の下を融通されておきながら……! っ……おいベルナール公爵、こいつらを城から追い出せ! 無礼なっ、触るな!』
『ザハール様、彼らひとりひとりを……この国を理解しようという気持ちに欠けていた、我々の負けです』
『殿下! 少し気分が昂られておるようですので……別室にてお休みいただきましょう……!』
『ふざけるな……私は認めんぞ! 私こそが国王の血を継ぐ正当な――……!』

 ザハールの声が遠くへと消えていく……。
 ティーラはそれを聞き届け目を伏せた後、上辺ばかりの関係をせせら笑うように顔を少しだけ歪めた。

「悲しいわね、なにも知らない道化の叫びは……」