助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

 メルはどっと気が抜けて、その場に座り込んだ。

「……あ~ぁ、これで終わりね。うまくいかないものだわ」

 かすれた失笑と、嘆息がそっと漏れる。
 ティーラだ。彼女は地面に臥して動かない魔術師をつまらなそうに見やると、メルに瞳を向ける。

「正妃を陥れた時点で、九割がたこの計画の成功を予測したのだけど、まさか……過去の悪行がこのタイミングで足を引くなんて。神様って、本当にいるのかも知れないわね?」

 ティーラは肩を竦めて、力の抜けた笑みを見せた。

「さて、私はこうして負けたわけだけれど……メルローゼ、あなたは私をどうしたい? あなたには私を裁く権利があるわ」

 メルは生気を失くしたように佇むティーラを見て迷った。
 彼女に抵抗の意思はないようだ。その無気力さは、この短い時間のうちに、まるで大きく年をとってしまったかのようだった。