助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

「さっさとやりなさい魔術師! これまでのすべてが無駄になるわよ!」

 もう後ろではすべての人の投票が終わり、集計が始まっているようだ。
 痺れを切らすように厳しく告げたティーラの声に、魔術師は目を閉じると、疲れたように言った。

「我が生涯を贄とし、あの者の命を奪い尽くせ……」

 再度訪れた魔の手を防ぐ手立てはメルにはない。
 できたのは、ただ祈ることだけ。
 それでも、なにかが行えるという予感があった。

 それは今も、隣に温かい気配が感じられるから。
 たとえ、体は滅び、二度と触れ合うことができなくなったとしても。
 確かに祖母の存在はメルの側に残り続け、寄り添い励ましてくれているのだ。

(あの人を止めたいの……力を、貸してね)