投票箱に添えられていた手は震え――……。

「結果を……確認する。皆の者、これからのこの国を担うのがどちらの王子となるか、しかと見届けてくれ」

 ピンに添えられた手を外すと、公爵は箱をそのまま開いた。

 投票結果がどう転ぶかは分からない。しかし、これでいい。
 紙片のひとつひとつに、次代のこの国を担う者たちそれぞれの期待が込められている。自分たちの時代は終わったことを感じ……嘘のように消えた執着とともに公爵は、自らの役目を果たすことが出来た充足感に満たされていた。