助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね



「魔術師! 魔女は潰したけれど、ラルドリスに届いていないわ! あなたの使命を、果たしなさい!」
「ぐうっ……」

 ティーラの叱咤が響き、目の前の魔女が倒れたことで途切れかけた集中を、魔術師は立て直した。

「第二王子を……殺さねばならん。我が、息子のために……」

 魔女は地面に身体を崩し、ぴくりとも動かないでいる。第二王子に向けた攻撃は止めたものの、心を殺し、もう間もなく心臓も止まるだろう。後は、もう一度呪いを放てば、すべてが終わる。

(マリア……これで、よかったのか)

 恋人は美しく、優しい人だった。のみならず、人にも自分にも厳しく、高潔であることを望んでいた。家を楯に取られ、出世の道具にされようとした自分を憐れむこともなく、守る為に自ら望んで幸せな繋がりを断ち、単身嫁いでいった。