助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

 誰かが、手を掴んで引き揚げてくれている。懐かしい感触が右手を包んでいる。
 ゆっくりと浮上していく感覚を感じながら、メルは、目の前のその人に笑いかけた。

(迎えに来てくれたの……?)
『――いつだって、傍にいるとも』

 いなくなったと思っていたのはきっと、メルだけだった。
 たとえ体を失くしても、周りの人が皆彼女を忘れても、メルだけは絶対に忘れない。
 その優しい眼差しと温もりは、ちゃんと、メルの心に刻まれているのだから。
 闇の奥に一筋……現実への出口が光って見えた。
 祖母の手に誘われるままメルは、一直線にそこへと飛び込んだ。