バッと手を広げて見せる彼を見て、メルにもなんとなく言いたいことがわかった。

「本物をかぶるまで、自分が王冠代わりになってあげるって」
「生意気な奴っ……でも、悪くないかもな。ははっ、ははははは……!」

 ラルドリスはふんぞり返るチタを頭に乗せたまま、本当に愉快そうに笑う。シーベルとメルもそれに釣られた。
 周りの人を明るく照らす、この彼の笑顔以上に効果のあるまじないなんて、きっとない。いつの間にか、メルだって彼の傍にいるだけで、こんなにも元気が貰えるようになったのだから。