「す、すみません。ご子息に無礼な口を聞きまして」
「いいんだよ、俺が許可したんだから。母上、こいつにも協力してもらって、絶対にあなたの潔白を証明しますから、出られるのを待っていてください」
「わ、私が居る間は、ラルドリス様に無理をさせないよう見張ってますから、ご安心を」

 そんな事を二人が言うと、ジェナはどこか安心した表情でメルを見つめた。

「まったく、この子は言い出したら聞かないんだから。でもよかったわ、この子が頼れる人を見つけてくれて。ありがとう、メルさん」
「いいえ、とんでもございません。それに私たちだけじゃなく、彼はきっとみるみるうちに、たくさんの人に囲まれるようになると思いますよ。楽しみにしていてください」
「ええ、信じているわ。私の代わりに、ラルドリスのことを……お願いね」

 ジェナの手が鉄柵の隙間からすっと伸び、メルの手を挟んだ。監禁生活で痩せてしまった、か細い手ではあったけれど……確かにそこからは、息子を想う強さと優しさが、同時に流れ込んでくるような気がした。