助けた王子に妃へと望まれた魔女ですけれど、自然が恋しいので森に帰りますね

「す、少し休まないと。大きな傷を負っていますし、回復してからの方がいいですよ……!」
「いや、俺にも事情がある。あんたもこんな小さなあばら家に男一人居座られても邪魔なだけだろう」

 それなりに血を失っていたので、まだ足取りも覚束ないのに。
 それでも青年はメルの忠告を無視して小屋の出入口へと向かってゆく。

(あばら家って……。おばあちゃんの大事な家なんだけど?)

 メルはその言い草にむっと来るが、相手は怪我人だ。
 言い返さず素直に、血の染みを抜いて繕ってやった彼の上着を持ってきてやる。

「はい、あなたの服です」
「ありがとう……っと、何をする!」

 しかし目の前に服を突き出した後、メルは彼が掴もうというところでひょいっと遠ざけた。

「返せよ!」
「駄目です!」