「ラ、ラルドリス様! えーとえーと、今は……」
「そ、そうだったな」

 あたふたするメルを一瞬の抱擁で離すと、ラルドリスはすぐ、その場に倒れているシーベルの元に駆け寄っていった。メルもそれを追う。

「おい、大丈夫か……」
「ぐ、っ……すみませんね、安心したら力が抜けてしまって。それより、今は私に気にせず魔物を……」
「グルルルルル……」

 腕を砕かれた魔物は一旦退いて唸り、様子を見ている。しかし、こちらから反撃が来ないと見ると、またすぐに再度襲い掛かってくることだろう。

 メルはそれを目にすると、ラルドリスたちに告げた。

「魔法は私たちの領分。どうかあれの相手は私にお任せください」
「あいつは、爆弾で頭半分吹っ飛ばしても再生したんだ……そんな相手だが、やれるんだな?」