しかし、その自信満々の顔を見るとなにも言葉が出てこない。それに少なくとも、嫌だとは思わなかった。メルにだって人間の友達なんて生まれてこの方いてくれた記憶がない。
 どうも気が抜けたメルは、仕方なしに彼が友人だと、認めてやることにする。

「なら私は、然るべき時を除いて今後一切、あなたが王子だからと特別に扱いませんよ? それで……本当によいのですか?」
「ああ、構わん。お前の言う事なら、疑わずに受け入れられると思うからな」

 白い歯を光らせて言い切るラルドリス。
 素直さは美徳とはよく言ったもので。その彼の笑顔はどちらかというと物事を疑ってかかりがちなメルにとって、とても眩しく、沈んでいた気持ちをすくい上げてくれるような力強さがあった。

「そうまで言われては致し方ありません。では、私と殿下はお友達、ということで。なにか悪いことしたら遠慮せず、自然の力で罰を与えて教えてあげます」
「やめろやめろ」