押し黙るラルドリスの背中からは、自責の念が感じられる。彼は押し黙ったまま拳を握り締めた後、顔を上げる。

「とっととケリをつけないといけないな。民のためにも」
「そうですね。おや……」

 そこでシーベルが言葉を止め、馬車を道脇に寄せて降りた。
 メルもそれを後ろから追い駆けると、少年が必死の表情で手を振っている。身なりはボロボロで頬もこけ、食事すらまともにとれている様子がないのに。

「すみません、旅の方! どうかお助け下さい! 妹が倒れて……!」

 彼の足元には、かろうじて寝床代わりになるかという、薄っぺらい毛布に寝かされた少女の姿があった。
 一行は急いで駆け寄り、少年に詳細を尋ねる。

「一体どうされました?」
「隣の村へと歩いている途中、妹が熱を出して……それでも無理して歩いていたものだから、急に倒れて。負ぶってなんとか進もうと思ったんですが、足がもう、動かなくて」