ゆがんだ溺愛は、芳醇で危険



「さっきまでのは情報料。ここからは協力料。これからお兄ちゃんの気持ちを聞き出してあげるから、アンタは寝たふりしてて」

「え、いいの……?」

「いいの。だってお兄ちゃん、最近ずっと辛気臭いんだもん。ため息ついたり、スマホを眺めては横になったり。まるでおじいちゃんみたい。 私は、今までのカッコイイ雅お兄ちゃんが好きなの。だから早く解決して。元のカッコイイお兄ちゃんを返してよね」

「……うん!」


抹茶ジュース五本で首を横に振られ、そこから一本上乗せして商談が終わった時。

静かに階段を上がって来る音がする。


「寝たふり、早く!」

「はい……!」


バサッと布団をかぶる。同時に扉が開き、私が昨日堪能したシャンプーやコンディショナーの匂いが一気に充満した。


「仁奈、起きなかった?」

「うん。大丈夫だったよぉ」

「そっか。見ててくれてありがとうね、美麗」

「お兄ちゃんの頼みなら全然だよ♡」

「仁奈、早く良くなったらいいのにね」


妹さんの変化に驚くのは当たり前として。

香月雅が私の事を、あまりにも優しい声で話すから……それだけで心臓を狂わされる。