「梓葉と付き合ってること、ちゃんと梓葉と2人で、今日初めてほかの誰かに話せて」
「夏穂さん？」
「あぁ。すごく肩の荷が下りたんだ。夏穂が俺と梓葉のことを応援するって言ってくれて、俺たち2人のことを外からそうやって応援してくれる人が増えれば増えるほど俺のこの変な罪悪感って消えていくと思うんだ」
「罪悪感……」
「大人なのに女子高生に手出してる、って。外から見たら変な目で見られるに決まってるじゃん。どんなにこっちが純粋な気持ちでいても、周りからそう思われるたびに梓葉にたして抱いてるその、やらしい気持ちとか、余計悪いものだって思っちゃって」
矢吹さんが、こんなに葛藤してるなんて知らなかった。私は矢吹さんがいいから。その一点張りで。
矢吹さんが抱いてること、背負ってるもの、何１つ考えていなかった。
そんな自分が情けなくなる。
「でもさ、今日、夏穂に報告してわかった。コソコソしてるよりも、さらけ出して、たくさんの人に支えてもらって見守ってもらった方が2人のためだと思って。俺だって1人じゃ何にもできない男だ。梓葉のご両親にもちゃんと交際を認めてもらえたら、それこそ俺の自信になると思う」
「矢吹さん……」
矢吹さんが、私のパパやママに挨拶をする。
矢吹さんの真剣さが伝わってきて、胸がキュッと熱くなる。
私はまだまだ子供で、2人の気持ちが今通じ合っていればなんでもいいなんて浅はかなことを考えていた。
矢吹さんは、そうじゃない。
私との今後を、ちゃんと考えてくれているんだ。
「まぁ、そんなこと言って、梓葉の親に猛反対されたら……」
「ううん！私が絶対説得する！私がちゃんと……！」
「うん。ありがとう。俺だって、反対されても諦める気はさらさらないよ」
『さらさらない』そんなことをはっきりと強くいう矢吹さんに、さらにキュンとしてしまう。
矢吹さんは私の頭に手を置くと、優しく微笑んだ。
