「琴葉、おはよ〜!」

「おはよ〜!」

友達と挨拶を交わすと、友達は目を輝かせながら興奮気味に言う。

「転校生、女の子だって!仲良くなれるといいね」

「女の子なんだ!そうだね、友達になれるといいな」

内心ホッとする。女の子なら仲良くなってもあの三人の目からハイライトが消えることはないだろう。少し友達と話した後、チャイムが鳴って先生が入って来る。

「起立」

委員長の号令で全員立ち上がり、先生に礼をして着席。いつもと変わらない流れだ。先生は眠そうにあくびを一つした後、言う。

「今日からうちのクラスに転校生が来るぞ。彼女は俺たちアルファと違ってオメガだ。仲良くするように。入って来なさい」

「はい」

女子特有の高い声が廊下からした後、ドアが開く。髪をツインテールに結んだその女の子は、アイドルにいそうな可愛い容姿で、クラス中から「可愛い」という声が上がっていた。しかもオメガだからクラスのテンションの上がりようが違う。でもあたしは笑えなかった。背筋が寒くなって、ブルリと体が震える。

「和島香奈(わじまかな)です。よろしくお願いします」

そう言って笑った彼女は、一度目の人生であたしを殺した女だったから。